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[逗子店] 2024-09-16

AirPods Pro2は果たして補聴器キラーになり得るのか?

2024年9月10日、Appleが新しいiPhoneと共にAirPods Pro 2を発表しました。注目すべきはAppleの新しい技術「Apple Intelligence」かもしれませんが、実際に眼鏡業界や補聴器メーカーが最も気にしているのは、AirPods Pro 2でしょう。
こちらは世界的な補聴器メーカーの株価データです。9月10日にAppleがAirPods Pro 2に補聴器機能を搭載すると発表したことで、大手補聴器メーカーの株価は軒並み下がりました。現在は持ち直していますが、その主な原因はAppleの発表にありました。


以下、Apple Newsroomからの引用です。
Appleは、アクティブな「大きな音の低減」機能、臨床的に検証されたヒアリングチェック機能、処方箋不要のヒアリング補助機能を搭載し、世界初のオールインワンの聴覚健康サポート体験をAirPods Proで提供します。これにより、手軽でリーズナブルに聴力補助が利用可能になります。この機能は、米国、ドイツ、日本を含む100以上の国や地域で、この秋から利用可能になる予定です。

AirPods Proには、軽度から中程度の難聴が認められる方向けに革新的な処方箋不要のヒアリング補助機能が追加されます。この新機能は、ヒアリングチェックによるパーソナルプロファイルを活用し、AirPods Proを臨床レベルのヒアリング補助にシームレスに変えます。設定が完了すると、この機能によってパーソナライズされた動的な調整が可能になり、ユーザーの周囲の音がリアルタイムで増幅されます。これによりユーザーは、より積極的に会話に参加し、周りの人や環境とつながりを保つことができます。AirPods Proの驚くような音質により、ユーザーの聴覚に関するパーソナルプロファイルは、そのユーザーのすべてのデバイスで音楽、映画、ゲーム、通話に自動的に適用され、設定を調整する必要はありません。ユーザーは、聴覚の健康の専門家によって作成されたオージオグラムを用いてヒアリング補助機能を設定することもできます。


従来の補聴器では、補聴器技能者による調整が必要でしたが、AirPods Pro 2ではその必要がありません。iPhoneを使った耳のデータ解析やソフトウェアベースの補聴機能がこれを実現していると考えられます。これにより、しっかりと音楽を楽しみながら補聴器としても使用できる点は、特筆すべきメリットです。

そもそも現在のAirPods Proでも、一定の聴力補助機能が提供されています。
ヘルスケアアプリにオージオグラムを入力し(聴力測定を耳鼻科や補聴器販売店で行うか、対応アプリで個人で測定)、設定アプリで「アクセシビリティ」→「オーディオとビジュアル」→「ヘッドフォン調整」の順でオンにします。これにより、対応するAppleやBeatsのイヤホンやヘッドフォンで音質が調整されます。

例えば、以下の機能が現行モデルでも提供されています。

・電話での音声の明瞭化
・映画や音楽の音質向上
・外部音取り込み時の音質改善(AirPods Pro 第二世代)

これらの機能をさらに強化したものが、今回のAirPods Pro 2に追加されるというわけです。
補聴器機能が追加されたことで「もう補聴器は不要では?」と思うかもしれませんが、そこまで簡単ではありません。
(まだ発売前で実際に聞こえがどのようなものなのかが分からないので、そこは一旦置いておきます。)

補聴器は一日中装着してもバッテリーが持つのが特徴です。これはBluetooth LEという通信規格のおかげで、低遅延かつ低消費電力が実現しています。(詳しくは前に書いたこちらのブログをご覧ください https://www.hochoki-araki.jp/blog/index.html?shop=zushi&id=2832 )

そのため、スマートフォンと接続しても電池切れを心配することなく、ほぼ一日中使用できます。
また、軽度から重度の難聴まで補聴器は対応している為、(機種によりますが)対応している範囲がAirPods Pro2よりも広いです。

一方、AirPods ProはAACという規格で接続されており、Bluetooth LEに比べて消費電力が大きいです。そのため、AirPods Pro 2を一日中装着するのは現時点ではできません。ノイズキャンセリングをオンにした状態で6時間しか稼働しないからです。
(将来的にBluetooth LEに対応する可能性はありますが)

もし将来的にBluetooth LEへの対応や個人で行った聴力測定が認定補聴器技能者レベルに達するような機能、更にはバッテリー持ちの向上など様々な要素が追加されれば、AirPods Proが補聴器の市場を奪う可能性もあります。
しかし、現段階では特にバッテリー持ちの観点から簡易的な使用方法に留まるのではないでしょうか?。
たとえば、家族と食事をする際や店員との会話など、特定のシチュエーションで聴覚を補助したいといった場合での使用が想定されます。
〜雑記〜
今回のAirPods Pro 2は中のチップが変わったとされていますが、H2チップは既にAirPods Pro(第二世代)にも搭載されています。つまり、ノイズキャンセリングの性能は前モデルから変わっていない?
実際、製品比較ページではAirPods Pro(第二世代)は出てきません。中身のチップは同じですし、バッテリー駆動時間も同じです。
それなら、既存のAirPods Pro(第二世代)でも補聴器機能が追加できるのでは?とはいえ、おそらくしないでしょう。また、AirPods Pro(第二世代)のType-C版とLightning版では微妙な違いがあります。Type-C版はApple Vision Proでロスレスオーディオに対応しており、通常よりも高音質で音楽を再生できます。これはType-C版とLightning版で内部の仕様が少し異なり、Vision Proとは5GHz帯で通信できるためです(=新しいコーデックで通信が可能ということです)。
なので、大した違いは正直無いように思えるAirPodsPro2と第二世代ではまた何かしらの違いがあり、それとソフトウェアによって補聴器機能を追加する・・・ということなのかもしれません。


逗子店 2024-09-16






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